相続専門コラム
相続人が被相続人と同居していたり、財産管理をしていた際に遺産を勝手に使い込んでいることがあります。他の相続人は相続財産額が減るわけですから納得がいかず相続トラブルに発展することもあります。
今回は遺産の使い込みを調査する方法とその後の対応方法について紹介します。
相続財産の使い込みが疑われる場合、どのような方法で調査することができるのでしょうか。個人でできるものと専門家にお願いするものをご紹介します。
遺産の使い込みの多くは預貯金です。従って、被相続人名義の金融機関の口座を調べましょう。相続人が該当する金融機関を訪ねて、戸籍謄本などによって相続人であることを示して手続きをすれば、金融機関から取引履歴の開示を受けることができます。
多くの場合、現在から10年前までの取引履歴であれば開示してもらえます。ゆうちょ銀行の場合は、定額貯金などの解約払戻請求書の写しを交付してもらえる場合もあります。証券会社や生命保険などの場合も、戸籍謄本を提示して開示請求書を提出すれば、取引履歴や保険の解約年月日、払戻金額などの資料を開示してもらえます。
個人での調査には限界があります。専門家に依頼する方法は弁護士会照会と裁判所からの嘱託調査の2種類があります。
弁護士会照会とは、弁護士法23条に定められた法律上の制度です。この制度は弁護士が事実の調査を円滑に進めるために設けられており、被相続人名義の預貯金の口座取引履歴や生命保険、証券口座の取引履歴を取得できます。
弁護士会照会を利用しても取引履歴を開示してもらえない場合もありますが、遺産確認訴訟などの裁判をしている時であれば裁判所の職権で調査してもらえる可能性があります。
実際に調査をしてみて使い込みが発覚した場合はどのような対応を取ればよいのでしょうか。
不当利益返還請求とは、正当な理由がないにも関わらず他人の財産等によって利益を得た人に対し、損失を受けた人が利益の返還を求めることをいいます。
相続人は、法定相続分の財産を受け取る権利があるので相手が不当に使い込んだ財産のうち、自らの法定相続分を返還請求することができます。
他の相続人は遺産を使い込まれたことにより、損害を受けていることになります。そこで、不法行為にもとづく損害賠償として使い込んだ財産の返還を求める方法があります。
相続財産の評価方法はもちろん、これまでの専門家とは違った考え方で相続に関する情報を誠実かつ、わかりやすく発信していきます。 自分で相続税申告書ができる「AI相続」を開発・運営しています。