相続税申告ガイド

【相続税】みんなは「家財一式」をいくらと書いてる?⇒1番多いのは〇〇万円

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相続税申告においては、家庭にある動産も相続開始の時点で金銭的価値があれば申告が必要となります。今回は、家庭用財産を相続財産として申告する際の評価方法や相場について詳しくご説明します。

家庭用財産とは

家庭用財産とは、家庭にある一般動産のことを指します。例えば家具や自動車、骨董品や美術品、金やプラチナなどの貴金属、時計などがそれにあたります。さらにはエアコンや洗濯機、冷蔵庫等の電化製品やカメラ、楽器、食器、衣服等、あらゆるものが含まれます。

家庭用財産の評価単位(相続税申告書の記入方法)

相続財産の計算は、被相続人の財産を一つずつ評価し、相続税申告書にも一つずつ記入していくことが基本です。しかし、家庭用財産は長年愛用する結果、点数が多い割には一つひとつの評価額は限定的であり、一点ずつ評価をして相続税申告書に記入することは現実的ではありません。

ですので、家庭用財産は以下の図のように、一つあたりの価額(時価)が5万円以下の物は、「家財一式」として、まとめて評価・計上してよいことになっています。

家庭用財産の相続税評価の方法_イメージ

相続税申告書に「家財一式」と書けば、家にあるほぼすべてのものが一網打尽!

さて、一つあたりの価額が5万円以下のものについては「家財一式」として一括で評価・計上して良いということを説明しましたが、一般家庭において時価が5万円を超える家財というのは実はほとんどありません。

なぜならば、多くの一般動産は購入後にはかなり価値が下がるためです。新品の価格が5万円を超えていたとしても、使用した時点で中古品になり市場価格は大幅に下がります。

また、中古品としての相場が明らかでない場合には償却費の合計を差し引くことで時価の評価をしますが、家庭用財産の償却年数はテレビで5年、パソコンで4年など比較的短い物ばかりですから数年も使えば、やはり相続税評価額としては5万円以内に収まるものがほとんどになります。

逆に相続税申告書に、「家財一式」を計上しないのはある意味不自然とも言えます。状況に応じてきちんと計上するようにしましょう。

「家財一式」の評価額は適当って本当?

さて、「家財一式」は一体いくらと評価すればよいのでしょうか。

家にある家庭用財産のほぼすべてが「家財一式」に入ってしまうのであれば、それぞれの額が小さいとしても、合計するとそれなりの金額になりそうです。しかし、それら一つひとつを足し算していくのは煩雑すぎます。また、家族で暮らしていた場合などは、その財産が被相続人だけの固有の財産であると厳密に言い切れるものでもありません。

実は、ここに関しては明確な基準はありません。つまり「概算」で良いことになっています。「概算」と言えばそれらしいですが、ありていに言ってしまえば「適当」です。

「家財一式」をいくらと書いている人が多いのか調査してみた

しかし「「家財一式」の評価額は適当!」などと言われても困るかと思います。
そこで、相続税専門の税理士たちは実務において「家財一式」をいったいいくらと申告しているのか、インターネット徹底調査してみました。

調査は、「家財一式」の一般的な家庭における目線をインターネット上で公表している税理士のHPやSNSうち、検索上位30件を抽出してみました。「10万~50万」などのように幅のある書き方をしている場合は、中央値をとり集計しています。

家財一式の目線_グラフイメージ

上の図のとおり一般家庭における家財一式を10万円程度としている税理士が33.3%と最も多いという結果になりました。また、単純平均額は18.5万円、税理士の見解の分布は最低3万円から最大で50万円でした。

もちろん、これらは相続税申告をする家庭のうち一般的なケースにおける目線です。1人暮らしでつつましく生活している場合などは5万円以下になるでしょうし、高級家具や最新家電を多く揃えていた場合であれば多めに申告する必要があるでしょうから、「家財一式」の申告額は被相続人の生活によって適宜検討すべきです。ただ、一般的には通常であれば10万円、多い場合でも50万円としておけば問題はなさそうです。

個別に評価したほうがいい家庭用財産

ここからは、個別評価が必要とされる比較的価値の高い資産について、資産の種類ごとに評価方法の説明をしていきましょう。基本的に評価額は、売買実例あるいはその資産の精通者の意見価格をもとに評価されます。ではさっそく、みていきましょう。

自動車の場合

自動車は、相続開始時点の以下の時価で評価されます。

・実際の売却価格
・中古車買い取り業者の査定価格(オンライン査定も可!) 
・車種や走行距離などから売り出し中の中古車価格を参考とした価格 
・上記が不明の場合、その車同等の新品価格から償却費を引いた価格 

骨董品・美術品の場合

骨董品や美術品も相続開始時点の以下の時価で評価されます。

・購入直後に相続が発生した場合は購入価格 
・実際の売却価格
・買い取り業者の査定価格
・美術商などに依頼して得られた鑑定額

鑑定を依頼する場合は、相続税の課税漏れにならないようしっかりとした専門家に依頼する必要があります。尚、鑑定費用を相続財産から控除することはできません。
また、鑑定の結果、資産価値が高いと思われていた骨董品や美術品が実は偽物であったことが判明したり、保存状態が悪かったことなどで数万円の鑑定結果になってしまう、ということもあります。その場合は骨董品や美術品を家財一式の評価に含めることができます。

貴金属の場合

金やプラチナなどの相場のある貴金属は、相続開始時点の貴金属業者の買取価格をもとに評価されます。買取価格の情報を業者のホームページで確認することが可能です。

宝石の場合

宝石については買い取り業者に買い取り価格の査定を依頼します。
相続開始直後に売却している場合には、実際の売却価格でも評価できます。

電話加入権の場合

電話加入権の評価は、基本的に1,500円とされており、5万円以下の財産として本来は「家財一式」に含めることが出来ます。

しかし、加入権に高い財産価値があった頃の名残で、電話加入権だけは、5万円以下であっても個別に相続税申告書に計上することが一般的です。

電話加入権の評価についての詳細はこちらをご参照ください。
【電話加入権の相続税評価と名義変更手続き】一回線1,500円で評価し申告

相続税申告書の記入例

さて、次に相続税申告における記載方法について国税庁の記載例でご説明します。

国税庁|相続税の申告のしかた(令和5年用)

家庭用財産を個別に評価計上する場合も、「家財一式」として一括で評価計上する場合も第11表に記載します。
左から順に、種類のマスに「家庭用財産」、細目のマスに「家庭用財産」、利用区分・銘柄等のマスに「家具等一式」または「家財一式」と書き、所在場所等のマスには「自宅の住所」などを記入してください。

尚、国税庁の記載例は、「家具等一式」として非常に高額な250万円が計上されています。高級家具をいくつも買った直後に相続が起きたケースを想定しているのかもしれません(実際にはほとんどないケースだと思います)

国税庁の家庭用財産の申告書第11表への記載例

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まとめ

今回は家庭用財産の相続税評価について説明しました。いかがだったでしょうか。

家庭用財産の評価方法は一単位が5万円以下であれば一括評価、一単位が5万超であれば個別評価となります。
また、一般的に「家財一式」として計上する額で多いのは10万円程度であり、それほど大きなものではありません。しかし多額ではないし面倒だからといって計上せずに処分してしまうと、財産隠しととらえられかねません。家庭用財産は国税庁作成の「相続税の申告のためのチェックシート」にもチェック項目として記載されており、しっかりとチェックされている項目です!

相続財産が漏れていて、税務署から指摘されてしまうと過少申告加算税を納付しなければいけなくなる可能性もあります。たとえ少額でも、きちんと申告書に載せて申告すれば、税務調査官にいい印象を与えられます。相続税申告の際は、家庭用財産もぜひ、申告してください。

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この記事の監修者

石倉 英樹(相続専門の公認会計士・税理士)

監査法人トーマツ、独立系コンサルティング会社で業務の経験を積み、2013年に相続税専門税理士として独立。相続において大切なことを伝えるべく「笑って、学んで、健康に」をモットーに、社会人落語家「参遊亭英遊」としても活躍。高座に上がる回数は年間80回超。著書に『知識ゼロでもわかるように 相続についてざっくり教えてください』(総合法令出版)がある。 HP:埼玉・大宮あんしん相続税相談室

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