相続税申告ガイド

相続の生前対策/二次相続対策のいろは

この記事をシェア

これはあまり意識されていませんが、そもそも相続対策には目的の違う2つの種類があることを理解しておきましょう。
一つは、家族が仲違いしないための対策であり、もう一つは相続税を軽くするための対策です。

財産を遺すのは家族の幸せを願ってのことですが、そればかりを考えた結果、家族が仲違いをすることになってしまったり、不幸になってしまっては本末転倒です。
ここでは、順番に基本的な相続対策を確認してみましょう。

家族が仲違いしないための対策

正しい遺言書を作成する

法的に正しい形式で遺言書を作成するのはもちろんのこと、むやみに複数書くことも思わぬトラブルを招きますので、新しい遺言書を作成したならば、古い遺言書は破棄するのが望ましいでしょう。


また、仲違いせずに相続を完了させるためには、相続に伴う不安や不満を和らげることが重要です。
つまり遺産分割がいくら平等でも気持ちが伝わらないと納得できないケースが多くあるのです。

その場合は、遺言書で遺産分割の方法を指示するだけではなく、気持ちを記しておくことで争いを未然に防ぐとこができるかもしれません。これは付言事項と呼ばれ、遺言書を無効にするものではありません。
しかし、法律的には意味のない家族へのメッセージであっても、一番大切なポイントといえます。

生前に財産を明示しておく

どの家族でも相続手続きの最初の難関は相続財産の把握です。
個人情報取扱い厳格化の流れもあり、正当な相続人だとしても口頭だけでは原則、内容を照会できません。
一方で遠慮なく届く、固定費や税金の納税通知が相続人たちのいらぬ不安を助長していきます。

事前に、生前に取引している金融機関等の情報をエンディングノートにして一覧にまとめておけば、相続人である家族たちも資産や負債の把握がしやすく、いらぬ疑心暗鬼や不和を引き起こされることもありませんし、時間的な余裕も確保できることから、遺産の活用や処分についても効率よく対処できるようになります。

相続税申告には期限があります。
相続人の死亡を知った日から10か月という時間は、長いようでいて短いです。
この期間内に、財産をすべて把握し、誰が何を相続するかを決め、相続税を計算、申告する必要があります

財産を把握するところはごく最初の段階ですが、この段階で時間や手間を使うのは大変もったいないので、エンディングノートに財産等を明示しておくことをおすすめします。

介護の方針やルールを話し合う

直接、相続対策とは関係ないように思われがちですが、介護の方針やルールについて事前に話し合っておくことは、円満な相続にとってとても重要です。

一般的には介護の経済的・精神的・時間的な負担は非常に大きいのですが、介護を担当しなかった兄弟にはその重みが正確にわからないため遺産分割協議の際に不公平感を生むケースが多くあります

元気なうちに介護にかかるお金や利用する施設を、自分の意志として子どもたちに伝えておくことが出来れば子どもたちの納得度は大きく変わってきます。
また、介護の負担を特定の家族が引き受けた場合、寄与分が認められ相続の時には他の相続人よりも多く遺産をもらうことができます。

相続税の試算をしておく

まだ相続が起こっていない段階で、相続税の計算をしておくことをおすすめします。
相続が起こってから、相続財産財産に不動産が多く納税資金に余裕がないことがわかったとしても、とれる選択肢はほとんどありません
ただし生前であれば話は別です。
事前に試算して相続税が予想より高額になってしまう場合には、資産の組み換えをおこなったり、仮に手放すとしても時間をかけて取り組むことが出来るために結果は大きくかわってきます。

相続税を軽くするための対策

財産を「減らして」節税対策

相続財産が減ればそれにかかわる相続税も減ります。
もちろん、減らすといっても本当に減らすのではありません。
本質的価値を減らさないまま、相続財産を減らす方法がいくつかあります

見た目上の財産を減らす方法

まず、最もオーソドックスなのは、相続税法上の評価が実際の価格より低いものを利用して、見た目上の財産を減らすという方法です。
これは、死亡保険金の特別控除(法定相続人×500万円)枠を利用した保険加入や、貸家建付地をはじめとする不動産投資が該当します。

不動産投資の具体的な方法は賃貸マンションの購入や建築をすることです。
賃貸不動産は、相続税評価が時価よりもかなり安くなるので、節税効果があります
相続を考えて様々な不動産を売却し、現金化してしまおうという人もいるかもしれません。
確かに現金化すれば分割はしやすいですが、相続税評価額は現金としての評価になり、安くなりません。

生前贈与を利用する方法

その他には「生前贈与」があげられます。
毎年いくらかのお金を子どもや孫に贈与する「暦年贈与」以外にも、教育費用や住宅取得資金の一括贈与の特例など、国の政策も利用しながら、相続が起きる前に相続財産を移転してしまう方法は相続税対策としては非常に有効です。
生前の相続対策の方法の手段はさまざまな手法があり、それぞれに長所短所があります
脱税ではなく、節税になるようにするには、税理士のサポートを受けることをおすすめします。
ぜひご相談ください。

財産を「増やして」節税対策

当然、相続財産が増えれば相続税も増えます。
しかしながら相続税の最高税率は55%であり、相続財産が増えたとしても、増えた額以上に相続税が増えることはないのです。

ですので、相続財産を増やすことができれば、相続税支払い後の「手取り相続財産」を増やすことができるという考え方も忘れてはいけません。
この手法による対策は相続人が若い場合に非常に有効です。
例えば、不動産を購入し、適切な管理をすることができれば、家賃収入は相当な額に上り、相続財産も増えますが、「手取り相続財産」は大きくなるでしょう。

相続の生前対策/二次相続対策についてぜひプロにご相談ください

みなと相続コンシェルでは、皆さまの相続をサポートするさまざまなサービスを行なっております。
相続対策は、長期的な視点をもって取り組むことが有効です。
目の前にある相続はもちろん、その次の相続までも見据えることで、より多くの財産を承継することができます。
ぜひ専門の税理士にご相談ください。

みなと相続コンシェルの生前対策/二次相続対策についての詳細情報を見る

みなと相続コンシェル編集部

相続財産の評価方法はもちろん、これまでの専門家とは違った考え方で相続に関する情報を誠実かつ、わかりやすく発信していきます。 自分で相続税申告書ができる「AI相続」を開発・運営しています。

無料で使える相続税申告書ソフト『AI相続』

AI相続について詳しく

当社のサービスを利用して
相続税申告にかかる費用を抑えることができます。

サポート・お問い合わせ

03-6824-7371 【受付時間】平日9:00〜17:00

お問い合わせフォーム