相続専門コラム
故人の遺品から見たことがない鍵が出てきたら、それは貸金庫の鍵かもしれません。
貸金庫には遺言書や各種契約書、貴金属類など重要なものが保管されている可能性が高く、当然ながら財産的価値のあるものは相続の対象になります。
特に遺言書の有無は、相続の行方を大きく左右するので非常に重要です。貸金庫の存在が疑われる場合には、真っ先に貸金庫を開けて中身を確認しましょう。
目次
「生前に貸金庫があるという話を聞いていたが、詳細を聞く前に本人が亡くなってしまった」
「貸金庫の鍵や暗証番号らしきものを見つけたものの、どの金融機関のものかわからない」
このような理由で故人の貸金庫を探している場合、貸金庫を特定して開けるまでの流れは以下のとおりです。
1の金融機関特定から2の相続手続きまでは代表の相続人が行えますが、3の貸金庫の開扉は原則として相続人全員の立ち会いが必要です。以下で、それぞれの方法を解説していきましょう。
どこの金融機関で貸金庫の契約をしているかわからない場合は、契約をしている可能性のある金融機関すべてに貸金庫契約の有無の照会をかけるのが基本となります。
故人が多くの金融機関と取引をしており、すべての金融機関に照会をかけるのが現実的でない場合は、貸金庫の使用量の引き落とし履歴を探すようにしましょう。
基本的に貸金庫は1年の自動更新契約となっており、貸金庫の利用料は半年分または1年分を、その金融機関の指定口座から引き落とされる形になっています。
つまり、金融機関の取引履歴において貸金庫の使用料の引き落としがあるところがすなわち貸金庫の契約をしている金融機関となります。
そのため、貸金庫の特定は「主要な預貯金口座の入出金明細を1年分確認し、利用料の引き落とし履歴を探す」方法がもっとも確実です。まずは遺品や郵便物、スマホ・PCなどの情報から、故人がよく使っていたと思われる預貯金口座を特定し、入出金明細をチェックしてください。
メガバンクの貸金庫利用料引き落とし方法は以下のとおりです。
貸金庫がある銀行 | 引き落とし方法 |
三菱UFJ銀行 | 指定の預金口座から1年分を前払いで引き落とし |
三井住友銀行 | 指定の預金口座から毎年4月・10月に半年分を前払いで引き落とし |
みずほ銀行 | 指定の預金口座から引き落とし 年払い(前払い)または月払い(後払い)を選択できる |
1年分または半年分を前払いで支払う方法が多いですが、みずほ銀行のように月払いを選択できる場合もあります。
貸金庫のある金融機関を特定できたら、金融機関で相続手続きを行います。
先述のとおり、金融機関は相続の事実を確認すると口座や貸金庫を凍結します。たとえ貸金庫の鍵を持っていても、相続人の誰かが勝手に貸金庫を開扉することはできません。
貸金庫の開扉や収納物の受け取りについては、相続関係者全員による手続きが必要です。まずは金融機関に確認し、手続きに必要な書類をそろえてください。
金融機関によって異なりますが、一般的に必要な相続手続きの書類や物は以下のとおりです。
預貯金の相続手続きでも同様の書類を求められるはずです。必要書類はまとめて用意し、手続きもあわせて行いましょう。
原則として、貸金庫を開けることができるのは契約者(名義人)のみです。契約者死亡で相続による貸金庫の開扉を行う場合は、相続人全員の合意と立ち会いが必要となります。
あらかじめ有効な遺言書があれば、遺言で指定された「遺言執行者」が単独で貸金庫を開けることが可能です。
たとえば、故人(被相続人)が遺言書にて特定の人に「貸金庫を開け、収容物を取り出し、貸金庫の解約を行う一連の手続きを委任する」としている場合です。この場合、手続きを委任された人は「遺言執行者」となり、単独で貸金庫を開ける権限を持つことができます。
ただし、「預貯金や有価証券など他の財産の遺言執行者として指定されているものの、貸金庫について遺言書に何の記載もない」場合は要注意です。遺言書に明確な貸金庫の開扉権限の記載がなければ、金融機関から通常の相続手続きを求められる可能性が高いでしょう。
また、肝心の遺言書が貸金庫の中にあり、事前に内容を確認・証明できない場合も同様です。
なお、貸金庫の相続にはいくつか注意点があります。
貸金庫の鍵やカードを紛失している場合は、金融機関によっては再発行手数料がかかります。この再発行手数料は相続人負担となり、相続税申告の際に債務控除できません。
原則として、相続税評価から債務として差し引けるのは、「相続発生時点で現に有する債務」です。貸金庫は開けるまでは被相続人の財産となるため、債務扱いにはなりません。手続きの際に取得した戸籍謄本や開示請求の手数料なども同様で、債務扱いとはならず、相続人の負担となります。
かつて預貯金口座開設時の本人確認が必要なかった時代には、比較的容易に別名義の預貯金口座を作ることが可能でした。特に昭和30年~40年頃は、別名義で口座を作ることが横行していたといいます。
故人が昭和初期生まれの場合は、遺品から「別名義の通帳や印鑑、貸金庫の鍵と思われるもの」が出てくる可能性があります。しかし、別名義の預貯金口座や貸金庫は本人確認できないため、通常は相続手続きできません。
ただし、戸籍や住民票など他の痕跡をたどることで、別名義であっても被相続人との同一性を立証できれば認められる可能性はあります。同一性を立証する方法については、弁護士など専門家に相談しましょう。
銀行には貸金庫がいつ開かれたか記録が残っています。
開いた貸金庫の中身について疑義がある場合は、貸金庫の開扉履歴を調査することも有効です。
履歴を調べることで相続発生前後に誰かが中身を持ち出した可能性がないか確認することが可能です。
貸金庫内に以下の財産があれば、それぞれ相続財産に加えなければなりません。他の相続財産と合算した金額が相続税の基礎控除額以上になる場合は、相続税申告が必要です。
上記はすべて相続税の対象になるため、相続税申告書への記載が必要です。
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