相続専門コラム

【わかりやすく】外国株式の相続税評価を解説

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外国株式の相続税評価は、基本的に日本の上場株式と同じ方法で計算します。

上場株式の評価計算自体はシンプルな方法になるため、ポイントを押さえておけばご自身で評価額を算出することも可能です。この記事では上場・非上場株式ごとの相続税評価方法と為替換算レート、計算時の留意点をわかりやすく解説します。

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外国株式の相続税評価ポイントは3つ

相続財産に米国株などの外国株式がある場合、相続税評価で大切なポイントは以下の3つです。

  1. 外国の上場株式は日本の上場株式と同じ評価方法
  2. 外国の非上場株式の評価方法は会社の純資産価額を計算
  3. 為替換算レートは相続発生日時点のTTBを使う

それぞれ詳しく解説しましょう。

1.外国の上場株式の相続税評価方法

外国の証券取引所に上場している株式の相続税評価方法は、日本株式の上場株式の評価方法と同じです。株式ごとに、以下4つの価格のうちもっとも低い価格を採用して評価計算できます。

  • 相続開始日の終値
  • 相続開始日の月の、取引日ごとの終値の平均額
  • 相続開始日の月の前月の、取引日ごとの終値の平均額
  • 相続開始日の月の前々月の、取引日ごとの終値の平均額

被相続人が複数の銘柄を保有していた場合は、銘柄ごとにもっとも低い価格を採用して評価計算できます。たとえばApple株は「相続開始日の終値」を、NVIDIA株は「相続開始日の月の前月の取引日ごとの終値の平均額」を利用して計算することも可能です。

外国株式の終値や終値平均の調べ方

外国株式の終値や終値平均は、以下の方法で調べることができます。

  • Yahoo!ファイナンス米国株で調べる:米国株の銘柄ごとの株価情報を調べられる
  • 証券会社に確認する:証券会社によっては、相続手続きの際に4つの株価を記載した参考資料を発行してくれる

Yahoo!ファイナンスは無料・会員登録なしで利用でき、すぐに調べたいときに便利です。調べる場合はAppleなど特定の銘柄を名前やティッカーで検索し、その銘柄の「時系列」タブをクリックしてください。

出所:Yahoo! ファイナンス米国株

「時系列タブ」では、相続開始日を指定して終値検索するほか、期間を指定して日間表示することで以特定月の終値を一覧表示できます。相続発生月・前月・前々月の終値平均を求める際は、一覧表示してから平均を求めてください。

相続開始日(死亡日)が休日の場合は?

相続開始日(死亡日)が土日祝日などで市場が開いていない場合、その日で検索しても終値を確認できません。この場合は、相続開始日にもっとも近い日の最終価格を採用します。

2.外国の非上場株式の相続税評価

外国の非上場株式(取引相場のない外国法人の株式)の相続税評価は、原則として「純資産価額方式」で計算します。非上場株式の発行国で日本の法人税や事業税、住民税にあたるものが課税されている場合は、評価差額からそれらの税額を差し引いて計算できます。

日本の非上場株式は企業規模によって評価方法が異なりますが、外国株式は企業規模で評価方法を分けることはありません。いずれにしても個人での評価は難しいため、税務署や税理士などの専門家にお尋ねください。

3.為替換算レートはTTBを使う

外国株式の相続税評価に採用する株価を決めたら、相続開始日の為替換算レートで日本円に換算する必要があります。このとき使用するのは、相続税の納税義務者(相続人)の取引金融機関が公表するTTB(対顧客直物電信買相場)です。

相続人同士で金融機関を揃える必要はない

相続人が複数人いる場合、利用する金融機関によって為替換算レートは違うことがあります。だからといって、金融機関を揃える必要はありません。

取引金融機関には証券会社のほか、銀行や信用金庫、農業協同組合などがあります。相続人がもっともよく利用している金融機関が公表しているTTBを利用し、日本円に換算してください。

株価の小数点以下の端数は切り捨てOK

相続税評価では、株価において小数点以下の端数を切り捨てた金額を取り扱います。外国株式について端数を切り捨てる際は、外貨ベースなのか、日本円換算ベースなのかどちらでしょうか?

国税庁に照会したところ、『基本的には、外貨通貨ベースの株価を日本円に換算し、評価額を算出する際に小数点以下を切り捨てる』という回答でした。

小数点以下切り捨てのルールについて、詳細はこちらの記事でも解説しています。

外国株式の相続税申告書第11表に書く

外国株式を含めた相続財産が相続税の基礎控除額を上回る場合、相続税の申告が必要です。

外国株式の相続税申告では、国内株式と同様に相続税申告書第11表を活用します。なお、第11表の様式は令和6年1月に改訂され、以前は1枚の申告書だったものが5枚の表に分割されました。

出典:国税庁「相続税申告書第11表の様式改訂」

外国株式の申告では、第11表の付表2(有価証券用)第11表(合計表)を利用します。
付表2に各銘柄の詳細を書き、第11表(合計表)に合計金額を記載してください。

詳細はこちらの記事で解説しているので、参考にしながら書き進めてください。

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執筆者

服部 ゆい

京都市在住。 金融代理店にて10年勤務したのち、2018年よりフリーライターとして独立。 金融・不動産・ビジネス領域の取材・執筆を中心に活動中。

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この記事の監修者

石倉 英樹(相続専門の公認会計士・税理士)

監査法人トーマツ、独立系コンサルティング会社で業務の経験を積み、2013年に相続税専門税理士として独立。相続において大切なことを伝えるべく「笑って、学んで、健康に」をモットーに、社会人落語家「参遊亭英遊」としても活躍。高座に上がる回数は年間80回超。著書に『知識ゼロでもわかるように 相続についてざっくり教えてください』(総合法令出版)がある。 HP:埼玉・大宮あんしん相続税相談室

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