相続専門コラム
相続手続きを進めている中でこのようなことがあれば、未受領配当金があるかもしれません。
未受領配当金とは、配当金の支払日が過ぎているのに配当金を受け取らないまま、株保有者が死亡してしまったときの配当金です。
本記事では、相続の対象になる未受領配当金の所在を確認し、受け取る方法について解説します。
目次
未受領配当金とは、相続発生時点で配当金支払日が過ぎていたにもかかわらず、被相続人が受け取っていなかったため未受領になっている配当金のことです。
通常、上場株式の配当金は配当基準日(権利確定日)の数か月後に支払われます。しかし、配当金支払日の翌日を過ぎても受け取らず、未受領のまま株を持っていた人が亡くなると未受領配当金が発生します。生前に発生しているため、未受領配当金は相続財産として相続税申告の対象になります。
「そもそも、配当金は口座に自動的に振り込まれるのでは?」
「なぜ、配当金支払日が過ぎているのに未受領になるの?」
と思いますよね。実は、配当金を口座振込ではなく金融機関の窓口で受け取る方法もあるのです。次項で配当金の受け取り方について解説しましょう。
※配当金支払日当日または支払日以前に亡くなっている場合の配当金については、また扱いが変わります。こちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
上場株式の配当金の受け取り方は大きく分けて3つあり、このうち未受領配当金が発生するのは以下の「配当金領収証方式」です。
銀行口座や証券口座で受け取る方法は自動的に配当金が振り込まれます。しかし、配当金領収書方式は自ら窓口に行く必要があるため、未受領配当金が発生しやすいのです。
信託銀行などの株主名簿管理人から発行される「配当金領収証」を銀行や郵便局の窓口に持参し、窓口で配当金を受け取る方法です。自ら窓口に行かなければ受け取れないため、配当金領収書が届いても放置していると未受領配当金が発生しやすくなります。
通常、配当金領収証には配当金支払開始日から約1か月の「払渡期間」が設けられています。ただし、この払渡期間を過ぎていても配当金を受け取れる可能性があるため、気を付けてください。
民法上の配当金請求権の時効は10年ですが、国内の上場企業では配当金の受取期限を独自に設定していることがあります。この独自に定められた受取期限を排斥期間と呼び、多くの場合、3年~5年が排斥期間です。
各企業の排斥期間は「会社名 定款 配当金の排斥期間」でネット検索すれば確認できます。
【定款の記載例】たとえばソフトバンクでは、排斥期間を以下のように定めています。
配当財産が金銭である場合は、支払開始の日から満3年を経過しても受領のないときは、当会社は支払の義務を免れるものとする」と記載がある。これを配当金の除斥期間という。
つまり、配当金支払開始日から3年~5年の排斥期間を過ぎていなければ、配当金領収書の期限が切れていても配当金を受け取れます。
では、未受領配当金の有無はどうやって確認すればいいのでしょうか?ここでは、未受領配当金の有無を確認して受け取る方法を解説します。
未使用の配当金領収証や配当金送金依頼書があれば、未受領配当金があるはずです。各用紙に記載されている株主名簿管理人(信託銀行等)に連絡し、未受領配当金の相続手続きを進めましょう。
故人が所有していた銘柄を特定し、その株式の株主名簿管理人に未受領配当金の残高証明書の発行を依頼してください。残高があれば相続手続きを進めましょう。株主名簿管理人は「会社名 株主名簿管理人」でネット検索すれば確認できます。所有銘柄を特定する方法は、こちらの記事でご紹介しているので参考にしてください。
配当金の管理・代行を行っている株主名簿管理人に連絡します。ここでは代表的な株主名簿管理人の対応と、相続手続きの案内ページを以下表にまとめました。
株主名簿管理人(信託銀行) | 未受領配当金の対応と相続手続案内ページ |
---|---|
三井住友信託銀行株式会社 | ・手続きに必要な書類を用意し、郵送で提出する ・配当金の相続手続きについて |
三菱UFJ信託銀行株式会社 | ・手続きに必要な書類を用意し、郵送で提出する ・配当金の相続手続きについて |
みずほ信託銀行株式会社 | ・手続きに必要な書類を用意し、郵送で提出する ・配当金の相続手続きについて ・未受領配当金残高証明書発行について |
ここでは、未受領配当金を受け取る際の注意点を解説します。
先述のとおり、配当金領収書に記載の「払渡期間」は配当金の受取期限(時効)ではありません。
領収書の払渡期間を過ぎていても、配当金そのものの受取期限を過ぎていなければ受け取れます。払渡期間が過ぎているからといって、慌てて処分しないようにしてください。
配当金領収証を見つけたら、まずは「会社名 定款 配当金の排斥期間」とネット検索し、正しい受取期限(時効)を確認しましょう。
故人の口座に振り込まれる配当金と同様に、未受領配当金も相続税の対象となります。
相続税評価額は「受取配当金の額から源泉徴収税額を差し引いた金額」つまり、相続人が実際に受け取れる金額は評価の対象になります。
未受領配当金や株式といった相続財産は、相続税申告書第11表に記載します。第11表は令和6年1月以降の相続から新様式になり、以前は1枚の申告書だったものが5枚の表に分割されました。
相続財産が株式(有価証券)と未受領配当金の場合、使用する申告書は第11表(合計表)と第11表の付表2、第11表の付表4を使用します。
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服部ゆい
京都市在住。金融代理店にて10年勤務したのち、2018年よりフリーライターとして独立。
金融・不動産・ビジネス領域の取材・執筆を中心に活動中。
相続財産の評価方法はもちろん、これまでの専門家とは違った考え方で相続に関する情報を誠実かつ、わかりやすく発信していきます。 自分で相続税申告書ができる「AI相続」を開発・運営しています。