相続専門コラム

【相続税の未成年者控除】 要件や控除額の計算方法、複数回利用する場合の注意点等

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遺言書による遺贈や代襲相続で相続人となった孫が未成年の場合、未成年者控除を受けることができ、相続税額を減額することができます。今回は相続人が未成年者の場合に受けられる未成年者控除の対象者と軽減額について解説します。

未成年者控除の対象者

控除を受けられる対象者は下記の要件すべてを満たす必要があります。

1.相続や遺贈により財産を取得している
2.相続や遺贈により財産を取得した時に日本国内に住所がある

※住所がない人で下記のいずれかを満たす場合は対象となります。
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・日本国籍を有しており、相続開始前10年以内に日本国内に住所があった場合
・日本国籍を有しており、相続開始前10年以内に日本国内に住所がない場合
・日本国籍を有していない
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3.相続や遺贈により財産を取得した時に18歳未満である
4.法定相続人であること

控除額の計算方法

控除額は、対象となる相続人が満18歳になるまでの年数1年につき「10万円」です。年数計算は1年未満の期間は切り上げます。

10万円 ×(18歳 − 相続発生日の年齢)

控除額の計算例

15歳9ヶ月の未成年者相続人の控除額は次のとおりです。

10万円 ×(18歳 − 15歳)= 30万円 
※15歳9ヶ月なので9ヶ月を切捨て15歳で計算する

余った控除額を扶養義務者へ分配が可能

控除額が未成年者の税額より大きく全額を引ききれない場合、引ききれない部分の金額をその未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます

上回った場合の控除額の計算例

長男Aさん(15歳):相続税額20万円
妻(Aさんの扶養義務者):相続税額50万円

[算出方法]
1. 未成年者控除額の計算
10万円 × (18歳 − 15歳)= 30万円(控除総額)

2. 長男Aさんの税額から控除する
 20万円(税額)− 30万円(控除額) = マイナス10万円(控除残額)

3. 残額を妻(Aさんの扶養義務者)の税額から控除する
 50万円(税額)− 10万円(控除残額)= 40万円(妻の納税額)

同じ人が未成年者控除を2回目以上利用した場合

過去の相続で未成年者を利用している場合、今回の相続での控除額に制限があるため、注意してください。
控除額は次の計算方法で算出した金額となります。
控除額の合計は扶養義務者から差し引いた分も含まれます。

1. 今回の未成年者控除額の金額
2. 10万円 ×(18歳 − 最初の控除適用時の年齢)− 今までの控除額合計

計算例

[1回目の相続]
年齢:15歳
相続税額:20万円

10万円 ×(18歳 − 15歳)=30万円(控除額)
30万円(控除額)− 20万円(相続税額)= 10万円(控除残額)

[2回目の相続]
年齢:17歳
相続税額:40万円

先程の算出方法に当てはめて考えます。
1. 10万円 ×(18歳 − 17歳)= 10万円
2. 10万円 ×(18歳 − 15歳)− 10万円 = 20万円
※10万円<20万円となる為、2回目の控除額は「20万円」となります。

未成年者がいる場合は特別代理人が必要

未成年者は原則的に相続が発生したとしても遺産分割などの協議に参加できません。それは未成年者が法律的な行為を行えないからです。そして、本来ならば代わりを未成年者の扶養義務者、つまり両親が行うべきなのですが、相続は1つのご家族だけの問題ではない事が多く、子どもの親が代理人を務めた場合「公平な相続が行えなくなる」観点から両親が代理を務める事ができません

なので特別代理人は両親以外から選ぶことになります。

誰を選ぶのか

ご両親以外の方となると見知らぬ第三者なのか、という疑問になりますがそうではなく祖父母など身近な親戚が選ばれることが多いです。

あくまでこの考え方に則り公平性を重んじるなら、父親がなくなった場合は母方の祖父母に任せたりすることになるでしょう。

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