相続専門コラム

コープ(生協)組合員の方は注意!出資金は相続税の対象です

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生活協同組合は生活者の暮らしを豊かにしたり、支えあう事を目的に結成された非営利組織です。生協またはコープという愛称で親しまれています。コープの組合員として加入する際に出資金を必ず求められるのですが、相続税申告時にも実はこの出資金は相続税の対象となります。

生協組合員であるというだけなので見落としがちですが、そこそこ大きな金額が残っている場合もあり申告漏れになりやすいので注意したいところ。ここでは、生活協同組合の出資金と相続税の関係について解説します。

コープ(生協)の出資金とは

ご存知の通りコープ(CO-OP)は生活協同組合(生協)のことで、2021年時点で日本全国約3,000万人以上の会員を抱えます。この中には医療福祉生協やコープ共済、コープ住宅なども含まれています。

コープに加入する際に組合員となる事から1口1,000円以上の出資金を求められますが、これは生活協同組合という名称からも分かるように株式会社とは少し異なり、組合員全員で支えていくという旗印の下で生まれた事に由来しています。

出資金は一時的に生協によって保管されている為、脱退時に返戻されます。また、出資金には限度額が設定されており最大で100万円までです。

コープ(生協)の出資金は相続税の対象

ちなみに亡くなった方(被相続人)がコープ組合員だった場合、必ず出資金があります。そして、この出資金は被相続人の財産である為、相続税の対象になります。

相続税申告が必要な方の場合は漏れなく記載しておきましょう。

【注意】相続税はかからないけど申告が必要なケースとは?義務・不要・任意のケースをそれぞれ解説

コープ(生協)の出資金の確認と手続きはどうすればいい?

1.電話またはメールにて脱退手続きを行う

出資金の確認と脱退手続きを行うためには、電話またはメールで各コープ連合会に問い合わせましょう。

この時に確認のために亡くなった方の組合員番号が必要です。お手元にコープからのハガキや注文用紙などをご用意下さい。また、法定相続人であるかの確認として続柄、氏名、住所等を尋ねられますので回答しましょう。

出資履歴証明書の発行も依頼する

相続開始時点での出資金を確認するためには、「出資履歴証明書」が必要です。

必要な理由については「コープ(生協)の出資金の相続税評価の方法」をご確認下さい。問い合わせ時に発行を依頼すると指定した住所へ送付してくれますのでこの時に依頼しておきます。

法定相続人を証明する書類が必要かの確認

更に、連合会によって対応が異なりますが、問い合わせ後に届く脱退用紙の返送時に「法定相続人」を証明する書類が必要となる場合があります。到着してから不足の書類を集めるのは時間が取られますので念の為、問い合わせ時に確認しておくとよいでしょう。

2.脱退用紙を返送する

問い合わせ後に、法定相続人の住所宛に脱退用紙が送られてきますので記入欄に必要事項を記載して返送します。「法定相続人」の証明を必要とする場合は添付します。また、法定相続人の口座を指定しておきます。

3.約1ヶ月後に振込が完了

手続きに問題がなければ脱退手続きは完了です。約3週間から1ヶ月後に振込が行われます。

コープ(生協)の出資金の相続税評価の方法

結論から言うと、組合員が加入していたコープ連合会に問い合わせると発行して貰える「出資履歴証明書」で確認可能です。加入時から脱退までの出資履歴が掲載されていますので、これを元に相続開始日時点での出資金額を確認し、相続税の評価金額とします

出資金は相続税でどのように評価されるのか

コープ(生協)の出資金は相続税でどのような評価を受けるのでしょうか?

実は、国税庁HPの質疑応答事例の中で「企業組合の定款に特別の定めがある場合の出資の評価」方法が記載されています。コープは企業組合であり、出資した金額までのみしか返還されない事が担保されているので、払込出資金額が評価額となります。

1 法令の規定により払込出資金額しか返還されないことが担保されている場合
 法令の規定により、現実に払込出資金額しか返還されないことが担保されている場合には、払込出資金額によって評価します。

出典:国税庁|企業組合の定款に特別の定めがある場合の出資の評価

相続税評価額は「出資履歴証明書」で確認可能

また、相続開始日時点の「払込済出資額に相当する額」の確認はコープ連合会に発行してもらえる「出資履歴証明書」にて可能です。履歴から相続開始日時点での出資金額を確認して、相続税の財産評価額とするわけです。

コープ(生協)の払戻請求権について

出資金の払戻請求権についても確認しておきます。場合によっては出資金の全てが返戻されなかったりする事がありますが、死亡脱退の場合は全額返戻される事が記載されています。

具体的には以下のとおりです。

コープは消費生活協同組合に該当し、出資金の払戻請求権については消費生活協同組合法の第21条が適用されます。

消費生活協同組合法 第21条
 脱退した組合員は、定款の定めるところにより、その払込済出資額の全部又は一部の払戻しを請求することができる。

出典:消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号)

定款に従ってねという事が書かれていますね。そして各コープ連合会の定款に「出資金の払戻請求権」に関する定めがあるのでこれに従います

定款はそれぞれの連合会によって異なりますが、大体がほぼ同じ文言で統一されているようです。払い戻し請求権を定めた部分を抜粋したものが以下のとおりです。

(脱退組合員の払戻し請求権)
第13条 脱退した組合員は、次の各号に定めるところにより、その払込済出資額の払戻しをこの組合
に請求することができる。
(1)第10条の規定による脱退又は第11条第1号若しくは第2号の事由による脱退の場合は、そ
の払込済出資額に相当する額
(2)第11条第3号の事由による脱退の場合は、その払込済出資額の2分の1に相当する額
2 この組合は、脱退した組合員がこの組合に対する債務を完済するまでは、前項の規定による払戻し
を停止することができる。
3 この組合は、事業年度の終わりに当たり、この組合の財産をもってその債務を完済するに足らない
ときは、第1項の払戻しを行わない。

出典:いずみ市民生活協同組合 定款

第10条の規定とは「自由脱退」の事を指します。自分の意志で自由なタイミングで組合員を辞めることです。そして、第11条第1号と第2号は「組合委員たる資格の喪失」と「死亡」を理由としています。

相続の場合はこの第11条第2号の規定に当てはまるので、第13条第1号に記載されている「払込済出資額に相当する額」が返戻される事になります。

コープ(生協)の出資金の特徴

ここまでコープ(生協)の出資金と相続の関係について見てきましたが、改めて出資金の特徴を見ておきましょう。出資金は銀行の預金とは異なるので、配当が付いたりコープ内で利用した金額の一部が出資金に割り戻されたりするなど、少し特殊な性質を持っています。

詳しく見ていきましょう。

出資金に対して配当が付く

コープの連合会は北海道から沖縄まで別々に存在し、それぞれの連合会によって運営されています。管轄ごとの毎年の決算で利益が出た場合に、出資配当率を協議し事業年度末(3月20日)時点の出資金額に応じて配当金が支払われます。

管轄ごとに違うものの、0.2%から0.4%ほどの出資配当率になる事が多く出資限度額の100万円の場合で毎年2,000円から4,000円ほどの配当を得ることが可能です。

コープ利用分に関しても分量割戻しで出資金へ加算される

コープは日常的に利用することになりますが、ここで利用したお金は分量割戻しという制度によって、毎年7月頃に加算されます。利率は変動しますが、例えば大阪いずみ市民生協の場合は0.9%で1%近く還元されています。

銀行ではないので万が一の時の補償はない

銀行の預金であれば銀行が破綻したとしても預金保険法によって普通預金なら1,000万円まで元本が保証されます。ですが、コープ(生協)は企業組合であり、かつ出資金は預金ではない為、万が一破綻した場合は出資金が戻ってこない可能性があります。

AI相続での入力方法

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相続税申告書を無料で作成できる「AI相続」なら、もちろんコープの出資金も簡単に入力することが出来ます。

もし亡くなった方がコープ(生協)の組合員だった場合は以下の手順に従って入力しましょう。

1.財産の入力のページを表示

AI相続にログインして「財産の入力」のページに移動します。

2.「有価証券」の編集ボタンをクリック

「財産の入力」画面にある項目の中の「有価証券」の右側にある編集ボタンをクリックします。

3.「追加ボタン」をクリック

上記画像のような「有価証券」の画面が表示されます。「+追加する」ボタンをクリックしましょう。

4.出資金の記載に必要な項目を入力

上記のような詳細画面が表示されます。出資金の記載に必要な各項目を入力していきましょう。

① 有価証券の種類

有価証券の種類から「その他の出資」を選択します。

② 有価証券の名称、銘柄

名称を入れます。例えば「◯◯生活協同組合 出資金」などと記載します。

③ 郵便番号

所属していた生活協同組合の郵便番号を記載します。

④ 住所

所属していた生活協同組合の住所を記載します。

⑤ 金額

出資履歴証明書」で確認した相続開始日時点での出資額を記載します。

5.「受け取った人」の項目を入力し「保存して戻る」

出資金の必要項目を入力し終えたら、①詳細画面の下側にある「受け取った人」の「取得財産の価額」を入力します。

入力が終わったら最後に②「保存して戻る」ボタンをクリックして終了します。

コープの出資金と相続税でよくある質問

組合員番号はどこで確認できる?

A.見つからない場合は電話で問い合わせ。注文書にも記載

  • eフレンズのマイページ
  • お届け明細書兼請求書
  • 注文書
  • 出資金の預り証
  • 出資配当と割戻しに関するお知らせ
  • コープのポイントカード
  • 電話、チャット等での問い合わせ

組合員番号は8桁で記載されています。上記のいずれかで確認できるため、日常的に利用されていた場合は恐らく簡単に見つけ出すことが出来るはずです。

組合員であったけど分からない場合は、各コープ連合会のお問い合わせ窓口に連絡すれば調べてもらえます。

組合員の名義変更は出来る?

A.できない

コープ(生協)の場合(共済などを除く)、理由の如何に問わず名義変更は出来ません。もし引き続きコープを利用されたい場合は亡くなった方の脱退手続きを行った後に新規加入する流れとなります。

結婚して名字が変更された、などの場合の氏名変更は可能です。

出資金は相続税申告書のどこに書けば良い?

A.第11表の付表2「有価証券」の「その他の出資」に記載

出資金は「有価証券」の細目「その他の出資」に該当しますので第11表に記載しておきましょう。

第11表の記載方法について詳しくは以下の記事で解説しています。

【記載例まとめ】第11表「相続税がかかる財産の合計表」の書き方

コープの出資金の相続税評価はどうなる?

A.出資履歴証明書で相続開始時の出資金残高を確認する

脱退手続きの問い合わせ時に「出資履歴証明書」をお願いすると発行して貰えます。この書類の履歴から相続開始日時点の出資金残高を確認し、相続税の財産評価額とします。

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みなと相続コンシェル編集部

相続財産の評価方法はもちろん、これまでの専門家とは違った考え方で相続に関する情報を誠実かつ、わかりやすく発信していきます。 自分で相続税申告書ができる「AI相続」を開発・運営しています。

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