相続税申告ガイド

タンス預金は相続税の対象?税務調査の可能性と申告後に見つかった場合の対処法

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金融機関に預け入れず自宅で保管していた現金、いわゆるタンス預金は相続税の対象財産となります。

しかし、バレないだろうと申告の時に存在を隠していたものの、申告後に見つかる場合もあります。
今回はそんなタンス預金の相続での取り扱い方、税務調査のリスクについて解説をします。

タンス預金とは

タンス預金とは名前のとおりタンスに保管されている現金のことではなく、金融機関に預け入れをせずに自宅で保管している現金のことをいいます。

タンスの中、机の引き出し、キッチンの戸棚、本棚、神棚、仏壇、中には庭先に埋めている、電子機器の空き箱に保管されている方もいらっしゃるようです。

タンス預金は年々増加しており、2019年1月末には50兆円に達しました(図1)。日本政府はキャッシュレス化の促進や新紙幣の導入で、タンス預金をあぶり出したいのではないかとの声もあり、いま注目されている財産です。

(図1)タンス預金残高の推移

タンス預金のメリットとデメリット

タンス預金にはメリット、デメリットは次のようなものがあります。

メリット

必要時・緊急時にすぐ使える

これが一番大きなメリットではないでしょうか。
突然現金が必要になった場合に手元にまとまった現金があれば金融機関の営業時間を気にせず使うことができます。

ATM手数料がかからない

最近は引き出し手数料無料の銀行もありますが、ATMで引き出す場合の数百円の手数料を支払わずに済みます。

金融機関の凍結の心配がない

相続が発生すると相続人が決まるまで、亡くなった方の銀行口座は凍結され、現金を引き出すことができなくなります。葬儀費用等の支払いでまとまったお金が必要になる為、手元に現金があると安心です。

政府に保有額を把握されにくい

マイナンバー制度導入により、預金口座にマイナンバーを登録できるようになりました。タンス預金であれば、マイナンバーを利用して政府に資産保有額を把握される心配は少なくなります。

デメリット

災害の被害を受ける可能性がある

台風や火災、洪水等、自分自身が気をつけていても災害が発生する可能性はあります。
自宅での保管にはどうしても限界があるため、災害時に大きな被害を被る恐れがあります。

盗難のリスク

外からの盗まれるリスクもありますが、存在を知っている、偶然見つけてしまった身内や知人に盗まれることもあります。

保管場所を忘れてしまう

一箇所に保管していれば問題ないかもしれませんが、分散して保管している場合は保管場所を忘れてしまうかもしれません。

誰かが捨ててしまう

本の間や空き箱の中など、保管場所によっては大掃除や断捨離の際、誰かが知らないうちに捨ててしまうかもしれません。

タンス預金は忘れず申告をしましょう

いざとなった時に使える現金が手元にあることは安心です。

しかし、タンス預金は相続税がかかる財産ですから、申告せず税務調査の対象となります。

タンス預金をしている方は家族を困らせることのないよう、エンディングノートや遺言書等に保管場所を明記すること、タンス預金を見つけた方は隠さず申告しましょう。後からトラブルになって困るのは大切な家族です。

税務調査で発覚すると40%の追徴課税

ここまで説明してきた通り、タンス預金も相続税の申告対象です。
もし隠しており税務調査で発覚した場合は納税額に更に「40%」加算された金額を罰金として支払わなくてはなりません。

税務調査は申告書提出後1〜2年以内に行われることが多いです。税務調査は税務署が預金の移動などの不審点を徹底的に調べ尽くした後に行われます。そのためほとんどの場合、追徴課税となります。

タンス預金に関しても調査員はある程度把握した状態でやってきますから、節税対策などの理由で隠すことは厳禁です。

相続税申告後に見つかった場合

相続税申告も終わり、家族の遺品の整理をしている時に多額の現金出てきた。ということもあります。そんな場合でも慌てることはありません。「修正申告」をしましょう。

見つかった現金を相続人で分割後、相続税の修正申告書を作成し、改めて納税します。
ただし、後から見つかった分は申告期限が過ぎていた場合、利子税と延滞税が別途かかることになります。

まとめ

タンス預金をしている方は相続の際、家族が困らないように存在をあらかじめ伝えておくか、エンディングノートや遺言書に所在場所を記載しておくことをおすすめします。

もし、相続発生後にタンス預金を発見したら、隠すことなく相続財産に含めましょう。

小さな隠しごとが家族間でのトラブルの原因で精神的に辛くなったり、税務調査で不安になるのはご自身です。
気持ちよく相続を終えることができるようにしましょう。

みなと相続コンシェル編集部

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