相続専門コラム
ここでは、電話加入権の評価の方法、相続税申告書への記載の仕方、相続した際の名義変更の手続きについて解説していきます。
一昔前まで電話加入権は固定電話回線を引くために必須なものであり、権利金も高額でした。
そのため長らく相続税申告においても個別に評価・計上する必要がありました。
しかし、現在では光ファイバーなどの電話回線を経由しない固定電話サービスの普及により必要性が薄れたため、相続税申告においても個別評価ではなく、家庭用財産に含めて一括計上して良いことになりました。
これまで電話加入権は個別に評価し、申告書に記載する必要がありました。
しかし近年、電話加入権の取引相場が存在しておらず、国税庁の定める標準価格も2014年(平成26年)以降から「1,500円」と低い金額から変わっていないことを受けて、2021年(令和3年)年6月24日、国税庁の財産評価基本通達が改正されました。
この改正により電話加入権の評価方法が見直され、2021年(令和3年)1月1日以後の相続においては個別評価ではなく、家庭用動産等(家庭用財産)に含め、一括評価・計上することが認められました。
また、取引が盛んに行われていた時代には、「100番のような呼称しやすい番号」や、「4989番などの嫌がる人が多い番号」などの「特殊番号」については、売買実例や精通者意見価格等を参考にして適宜増減した価額によって評価することになっていましたが今回の改正により、廃止されました。
▶参考:国税庁|財産評価基本通達の一部改正について(電話加入権の評価)
上述の通り電話加入権は相続税申告においては、事実上あまり評価額を考える必要がなく家庭用財産に含めて評価します。
さて、家庭用財産はどのように評価・計上すればよいでしょうか。こちらについては当社の下記コラムをご参照ください。
【相続税】みんなは「家財一式」をいくらと書いてる?⇒1番多いのは〇〇万円
なお、電話加入権を多数所有している場合においては令和2年までの評価方法に準じて1加入権あたり「1,500円」で評価・計上するのが無難な場合もあります。正確には管轄の税務署に問い合わせてご判断ください。
さて、電話加入権を含む家庭用財産はどのように相続税申告書に記載すればよいのでしょうか。
家庭用財産は他の財産と同じく、第11表に記載します。
記載方法は下の図のように、種類欄、細目欄「家庭用財産」、利用区分、銘柄等欄に「家具等一式」と記入します。
価額欄に一括評価した金額を記入し、取得した人の氏名欄に相続した人の氏名、取得財産の価額欄に価額のうち、いくら受取ったのかを記入します。
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家庭用財産(電話加入権等)の入力は、ログイン後、「財産の入力」画面の中の「家庭用財産」の入力画面において以下のように入力します。
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相続税申告の手続きは以上のとおりですが、固定電話を使い続ける場合は税務署とは別にNTTへ相続の手続きをする必要があります。
相続に伴う名義変更手数料は無料であり、「加入権等承継・改称届出書」に必要事項を記入して添付書類をつけてNTT加入権センターに郵送することで手続をすることができます。
詳しくはNTTのHPをご確認下さい。
「加入権等承継・改称届出書」は116で郵送してもらうことも可能ですし、NTT東日本および西日本のHPがらダウンロードすることも出来ます。
▶NTT東日本|電話回線の名義変更
▶NTT西日本|名義変更のお手続き
電話加入権はかつては価値があるものとして、相続税申告書には個別計上する必要がありましたが、現在では家庭用財産に含めて評価計上するように変わりました。
みなと相続コンシェルでは、相続の専門家が様々なご相談を伺っています。
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なにかあればお気軽にお問い合わせください。
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監査法人トーマツ、独立系コンサルティング会社で業務の経験を積み、2013年に相続税専門税理士として独立。相続において大切なことを伝えるべく「笑って、学んで、健康に」をモットーに、社会人落語家「参遊亭英遊」としても活躍。高座に上がる回数は年間80回超。著書に『知識ゼロでもわかるように 相続についてざっくり教えてください』(総合法令出版)がある。 HP:埼玉・大宮あんしん相続税相談室