相続専門コラム
私たち「代理人売却」は不動産を売却する方の味方になります!
しかし、「不動産を売却する時に感じる不透明さを「代理人売却」が解決します!」と私たち自身が言ってもなかなか信じてもらえないので、今回は業界の奥の奥まで客観的によくご存じである夏原先生に対談の機会を頂戴しました。
■夏原武(右)なつはら・たけし/1959年生まれ。ルポライター。多数の著書の他、マンガ原案者としても、『正直不動産』のほか、詐欺をテーマにした『クロサギ』など多数のヒットを生む。特に『ビッグコミック』(小学館)で2017年より連載開始の『正直不動産』は連載開始直後から話題を呼び、コミックスはシリーズ累計277万部(2023年1月現在)NHK総合で、山下智久主演で連続ドラマ化もされ話題。 最新刊はこちら
目次
弥田:不動産業界に不透明な印象を持っている人は多いと思います。
なぜ不動産業界は顧客優先主義になれないのでしょうか。通常、悪いサービスは自然に淘汰されサービスは向上していくものですが、不動産業界はいつまでたっても変わりません。
夏原:不動産業界の顧客には、いわゆる地主さんとか大家さんと言われる「オーナーさん」と、それらを借りたり、買ったりする「一般客」という2種類あるわけです。ほとんどの不動産業者は持っている人の方を向いちゃっているのですよね。
というのは、借りる人はいくらでもいますが、オーナーというのは限りがありますからそこをしっかりとしたいという構図が元々強いのです。そういう意味では、オーナーさんへは顧客優先主義ではあるのですよ。
一方、一般の人から見ると、自分たちの方を見てくれていないわけで、顧客優先主義ではないですよね。本当は一般客も大事にしなければいけないのですが、大事にしなくても客は来るっていう意識が大手ほど強いですよね。本来の意味と違いますが、「一期一会」の意識がすごくあります。一般客は契約してお金も払ったらそこで終わり、「じゃあ、さようなら」なんですよね。それで成立してしまう業界だっていうのが、問題の根底にあります。
弥田:海外のようにセルフDIYして何回も引越をする文化だったら違うのでしょうけど、日本はどうしても土着的で一般客は一生で一回、不動産を買うか買わないかで、リピーターになんかならないと。
夏原:そうですね。若いうちは賃貸で移動したりはしますが、ある年齢が来て、家を買ったらそこからもう動かないんですよね。だから、同じお客さんと何度もやらなくてもいいっていう意識が非常に強いですよ。
ですから、契約して、ローンが実行されて決済したら、もうその営業と電話が繋がんなくなっちゃうなんて話を結構聞きます(笑)
僕も大手不動産会社の人も含めて随分いろんな人に会いましたけど、大手ほどこんな営業スタイルで成立しちゃっているので、変えるのはちょっと難しいと思いますね。
弥田:営業が多少不義理だろうがしっかりと結果さえ出してくれればいいわけですが、不動産売却においてよく問題になる、良い価格の買主が現れても社内の手数料を優先して売主に報告せず握りつぶすというような「囲い込み」は今でも横行しているのでしょうか。
夏原:ありますね。
コロナの時なんかは他社が売主側の業者に連絡しても「今、この物件のオーナーさんはコロナが落ち着くまで人に合わないようにしています」などと言ってつながない「コロナ型の囲い込み」というのがずいぶんありました。そうでなくても商談中を装ったりして断る「囲い込み」は常態化していますよね。
そして、実際には買い希望が来ているにも関わらずそれを売主につなげずに、媒介契約の期限の中で引っ張るだけ引っ張って期限近くなったら、「どうしてもお客さん見つからないですが、仕方ないですからうちで買います!」なんて正義の味方のように言って、いわゆる買取再販的なことをやり出すわけです。こんなことは、ある程度の資金力のある不動産会社はどこでもやっていますよ。
弥田:他社経由の買い希望を通していたら、買主側からの手数料がもらえないので両手優先をしたい気持ちはまだ理解できます。しかし、お客様を弱気にさせて買い叩きを目指すというのは明らかに一線を超えています。
【用語解説】 両手優先とは、仲介手数料を買主からも売主からもとりたいために、他社経由の自社で預かっている案件にきた、買い希望や売り希望といった他社経由の引き合いを通さないこと。
夏原:真面目にやるよりも、利益率が圧倒的に違いますし簡単なのです。
とにかく他の業者に物件を出さないようにして、自分のところでがっちり抑えて、引っ張るだけ引っ張って、売主さんが「もうまいった!」という頃を見計らって、正義の味方というか、まるでボランティアのように「じゃあ、うちがなんとかしましょう。」みたいなことを言って、平然と買い叩きます。「買取保証」っていう表現を使っているところもありますね。
僕も音声データも聞いたことありますが実際にたくさんあります。
大手ほど資金力があるわけで、その意味でも大手なら安心なんていう話は、こと不動産業界に限っては絶対にない話ですね。
弥田:当社の「代理人売却」は、私たちがお客様の代理人となり、「査定」と「販売」の両方で正しい競争原理を働かせるために複数の不動産会社に競い続けていただくサービスです。代理人報酬は成約を決めた不動産会社側からいただく紹介料で成り立っており、お客様から費用を一切頂きません。
このサービスがお客様側から多くのご支持をいただけたのはもちろんのこと、競わされてしまい、透明化させられてしまう不動産会社側からも協力を引き出せた理由はどこにあると思われますか?
夏原:確実性でしょうね。
いくら不動産会社の営業が頑張っても物件が見つかるとは限らないわけです。しかし、この「代理人売却」っていう仕組みでは、独占はできないものの案件が確実に手に入るというのはやっぱり嬉しいんです。
もちろん、査定だけでなく販売においても、他社とずっと比べられてしまうので、買い叩きはできないし、成約時にはみなとさんに紹介料を払わなければいけないわけですが、そうであっても確実な売り物件というのは本当に有難いんです。そもそも競争するというのは、企業として当たり前の努力ですしね。
だから、売り案件を獲得するための不確かな営業コストが不要で、販売をガチンコで頑張ればいいだけということで、不動産会社側の利益率はむしろ高くなるんじゃないでしょうか。
弥田:「代理人売却」は不動産会社に競っていただく仕組みですので、仕組みを説明する際は大丈夫かなと思いつつ、慎重に言葉を選んでご説明したのですが、皆さん本当に二つ返事で快諾してくださったので拍子抜けしました。
不動産会社の皆さんは自然に「では、2社競争ですね。望むところです。結果を出せば良いだけですよね。」と。
不動産業界は不透明なところもありますが、中の人たちはいい意味、体育会系的な勝負にまっすぐでさっぱりした好人物も多いです。本当は中の人たちもまっすぐな取引をしたいのだと感じます。
弥田:当社の「代理人売却」は不動産業界において異端的サービスだと言われます。夏原さんはどう思われますか?
夏原:異端的というよりも、僕はどのような業種であってもこのようなサービスは増えたほうがいいと思います。
初めて不動産を売る売主は持っている不動産がいくらで売れるのか正確に知る術がないわけです。
なので、多かれ少なかれ不動産会社の言いなりになってしまっています。場合によっては知らないうちに囲い込みなどをされてしまうことだってあります。
ですけど、それって回避できないんです。向こうは不動産のプロで売主は人生で初めて土地を売る素人なのですから。
ですので、代理人のような信頼できる人に間に入ってもらうことで、不動産会社を競わせて透明化できるというのは売主にとっては利益が大きいですよね。
僕は、このような仕組みは増えるべきだと思っています。代理人売却もその1つだろうと捉えています。
弥田:ありがとうございます。
代理人売却を通して多くの査定を見ていますと、お客様が自分で店舗に出向いたり一括査定サイトを利用したりして取得された査定とほぼすべてのケースで全然違うのです。
■弥田有三(やだゆうぞう)/みなと相続コンシェル(当社)代表取締役 2000年 証券会社入社。プライベート・バンキング業務を経て、金融仲介業者として独立。富裕層の長期的な視点での資産運用・管理に強み。2008年 発展途上国にてIT会社を設立の参画し、取締役就任。2018年当社設立。不動産については富裕層顧客の代理人として数多くの不動産売買を担当するとともに自分自身も売買を重ね、これまでの引っ越し回数は18回。
夏原:代理人売却は複数社だから良いんですけど、大手1社だけだと最初はとんでもない高い値段言ってくるんですよ。
だからお客さんは「あ、いいかな。」と思って専属専任で契約してしまう。そうすると、しばらくしてから担当から「この値段でいけると思ったんですけど、やっぱりちょっと難しいです。」と言われ、結局どんどんどんどん値段が下がっていくんです。それが大手の手口なんですよ。
ところが、複数社が争ってるとそれができないですよね。
大手が公平公正って謳うのであればどこも1社で独占するよりも複数社で競争を行わせれば、売主にはよりプラスメリットになるでしょうね。
さらに言えば、査定価格よりも高い値段で買っていたとしても、損していないケースだってあります。そういう場合はたいてい利益を出すプランを既に持っているんです。ということは、高い査定を出して、根拠なく価格を下げるということは、ものすごく利益幅をとっているということなんです。もうそれはやめていかないといけないですよね。
不動産を売却した人の実際のところは、「なんだかわからないけれど、この値段で売れた。」「大手がこの値段って言うからそんなもんだと思った。」という話が8割、9割です。相場自体がよくわかっていない人が大半なんです。
だから、公平性と同時に基準値を設けるという意味でも、複数による競争というのは僕は絶対に必要なことだと思っています。
弥田:代理人売却の仕組みは新しい形です。
しかし、これまで不動産業界はなかなか変わりませんでした。今後もなかなか変わらないのでしょうか。
夏原:こういう話はよく聞かれるんですけど、あくまでも僕が知っている範囲でお答えすると、上から何かが変わるということは多分ないと思います。少なくとも大手に任せていたら、この業界は絶対に変わらないと思います。また、不動産業者ってみんなライバルなので、業者同士が手を組むのもなかなか難しいんです。
手数料の上限金額を決めるとか、レインズを一般公開するとか意見はいろいろ出るんですが、力を持ったところが動かないというところが悪しき体質ですよね。
しかし、変えたいと思っている街の不動産屋さんとか、中堅の方々はたくさんいらっしゃいます。なので、ボトムアップで変わる可能性は、僕はあると思っています。
嘘をついてもしょうがない。そんなことをしなくたってちゃんと利益は出る。ということを理解してる方々が本当に全国にいらっしゃいます。そういう気持ちを持った方達や、業界の外の人がなんらかの形で連携をとって、業界を変えていってほしいですね。
それからもう1つ、不動産営業というのは特殊な仕事なんですよ。
であるにも関わらず有資格者のみにするといったような縛りがないですよね。例えばですが、営業業務は宅建士のみが行うといったように変えなきゃいけないと思います。
そういう風に変えていかないと、業界自体のグレーゾーンは平然とまかり通ってしまいます。新たに資格を作るなりして、無資格者は営業してはいけない上に懲戒制度等も決めていけばブラックなことはできなくなるわけです。
ただ、これは法的な話なので、国交省等がやってくれればいいんですが、残念ながらなかなか動いてくれないですよね。
業界を変えるという点において、僕は法律職である宅建士というものの地位をもうちょっと高めてほしいし、高めるためには、違法的なことやったら、資格が取り消されますよ。とか、それだけの重みを与えることが1丁目1番地だと思っています。
弥田:当社はじめ不動産業専業じゃないところも新しい風を吹き入れていければと思います。
夏原:それはもちろんそうです。
よく僕は不動産業をやっているわけではない不動産テックの方々とよく会うんです。周辺にいるDXの方々にも僕はすごく期待しています。
日本一、あるいは世界一かもしれない量で紙を使う、旧態依然としたこの業界を本当に変えていってほしいですね。代理人売却もそうですけど、不動産会社と普通の消費者の間のポジションの会社や人が増えてほしいですね。これも、業界を変える大切な要素だと思っています。そのような人が増えることによって不動産業界も襟を正して、消費者も安心して取引できるような世の中になってほしいです。
弥田:ありがとうございます。我々も業界を変える一端を担えるよう、代理人売却をしっかりと取り組みます。不動産業界の実態や夏原さんの考えについて私も非常に勉強になりました。
本日は本当にありがとうございました。
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