相続専門コラム

【匿名OK】相続税の無料相談ができる先とそれぞれの特徴

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相続税について相談が必要になった場合、誰に相談するかというのは非常に大切です。
知識がある人であっても、その人の立場によってはどうしても偏った回答になるでしょうし、そもそも家族の財産にかかわることですから誰にでも相談できるものでもありません。だからといって有料相談となると、かなり高額な場合もあります。

今回のコラムでは、「ある一部分だけちょっと確認したい」「自分で相続税申告に取り組みたいのでガッツリ何度も確認したい」などという時に、無料で相談に乗ってくれる先をまとめてみました。

相続の相談は「相続税(税金)」と「法律」に分けて考える

まず、一口に「相続の相談」といっても「相続税」という税金に関する相談と、「遺産分割」などの法律に関する相談というのは全く別のテーマであることを理解する必要があります。
前者の専門家は税理士であり、後者の専門家は司法書士や弁護士となります。

税理士と弁護士・司法書士の専門領域

ですので、相続税申告や相続税対策については税理士が相談相手として適していますが、遺産分割協議の調整については、税理士は専門家でないだけでなく、関わること自体が非弁行為として違法行為となります。

今回のコラムのテーマは、「相続“税”」について無料相談ができる先ですので、法律相談ではなく、税金に関する無料相談先をご紹介していきます。

いつでも電話相談できるところはここ!

遠慮することなく何度でも無料で利用できる電話相談窓口は、相続税申告を自力で行いたい方にとって一番の味方になります。
電話相談できる主な窓口は以下の通りです。

★★★ 国税局電話相談センター ℡ 所轄税務署番号→プッシュ「1」→プッシュ「3」/8時半~17時
★☆☆ 税務相談室(日本税理士会連合会等) ℡ 03-3492-6016/10~14時45分(昼休憩有)
★☆☆ 納税者支援センター(東京税理士会) ℡ 03-3356-7137/10~16時(昼休憩有)
★☆☆ もしもし税金相談室(近畿税理士会) ℡ 050-8880-0033/10~16時

国税局電話相談センターは、税目別に配置された税務相談官が対応しており、プッシュボタンで選択することで相続税に精通した相談官に直接確認ができるためおススメです。一方、税理士会が行っている電話相談の方は国税局より小規模であるため、回答の質は電話に出た税理士によって異なります。

5つの無料相談窓口とその特徴

上述の電話相談センターを含めて、相続税の無料相談窓口には「国税局」「税務署」「税理士会等」「市区町村役場など」「税理士法人等」と5種類あります。

それぞれの特徴は次の通りですが、大雑把に言うと、公的機関の無料相談窓口はYes/Noで回答できるような相談に強く、税理士法人・税理士事務所の無料相談はある程度踏み込んだ相談や「相続税のことをゼロから教えてください」といった漠然とした相談にも丁寧に応じてくれる、といった特徴があります。詳しい特徴は次のとおりです。

国税局電話相談センター 【 電話 ○ 対面 × 】

① 相談できることと特徴
国税庁の無料相談サービスで、各国税局・国税事務所ごとに電話相談センターを設け、相続税など国税に関する質問を受け付けています。国税に関する一般的な質問や相談について、税務相談官が税目別に応じてくれるため、迅速で質の高い回答が得られることが特徴です。

② 連絡方法
電話相談センターへの連絡は最寄りの税務署経由で行い、通話料は税務署までの通話分のみ相談者負担となります。具体的な連絡方法は次の通りです。

1) 最寄りの税務署に電話連絡する。
2) 音声自動案内に従って「1」(電話相談センター)を選択。
3) 電話相談センターの音声案内に従って、相続税の相談は「3」(譲渡所得・相続税・贈与税・財産の評価)を選択。

③ こんな方におすすめ
質問に対して的確な答えが返ってくるため、相談したいことが明確な方には特におすすめです。「例えばXXな場合に〇〇の特例は使えますか?」といった形で、Yes/Noで答えやすいように工夫して質問すると、個別案件であっても回答してもらうことが可能です。
聞きたいことがたくさんあっても、通話料は税務署までの通話分のみで済みますのでリーズナブルです。
また、平日の日中ならいつでも相談できるので、お昼休みや隙間の時間で相談したい方にもピッタリです。

④ 注意点
一般的な質問に関する相談窓口ですので、具体的な資料や事実関係を確認する必要がある相談には応じてもらえません。また、税金の納付相談も対象外となります。(これらの場合、必要に応じて税務相談官が所轄税務署に電話を転送してくれます。)

所轄税務署 【 電話 ○ 対面 ○ 】

① 相談できることと特徴
いわゆる「最寄りの税務署」のことで、税金の納付相談から一般的な質問まで幅広く受け付けています。資料を持参して税務署職員と面談での相談ができるのが特徴です。電話相談もできます。

② 連絡方法
相談方法は次の通りです。所轄税務署の担当者に繋がったときに、面談の予約又は電話相談の希望を伝えてください。
 1) 国税庁のホームページから所轄税務署を確認し、電話連絡する。
   参考:税務署の所在地などを知りたい方(国税庁HP)▼
 2)自動音声案内に従って「2」(納付に関する相談、申告相談の事前予約)を選択。
 3)税務署の担当者に繋がるので、電話での相談又は面談の予約を行う。

③ こんな方におすすめ
一般的な相続税の相談について、資料を確認しながら税務署の職員と対面で相談できます。繰り返しの相談や比較的長い時間の相談にも応じてくれるため、じっくり相談したい方に向いています。

④ 注意点
一般的な個別の相談に応じてくれますが、節税や二次相続対策などの積極的な提案、個人別の税額計算(一般的な計算方法は教えてもらえます)などは、相談の対象外です。
面談の場合は事前予約が必要なことが多いので、予約の手間や面談時間のスケジューリングも必要になります。

日本税理士会連合会・税理士会 【 電話 ○ 対面 ○ 】

① 相談できることと特徴
日本税理士会連合会は税理士の登録業務等を行う団体で、全国15の税理士会で構成されています。日本税理士会連合会では電話による税務相談室を開設しており、各税理士会も面談や電話での無料相談を実施しています。

日本税理士会連合会・税理士会の相談では、税務の専門家である税理士に気軽に相談できる点が最大のメリットです。一般的な税務相談、特例の適用要件の有無や申告手続きについて、資料を確認しながら税理士に無料で相談できます。
また、地域の税理士の紹介を行っているのも特徴です。

② 連絡方法
・日本税理士会連合会 税務相談室(日本税務研究センター内)
 (TEL)03-3492-6016
 (相談時間)平日10:00~11:45/13:00~14:45
 ※夏期休暇期間(8月10日~20日)、年末年始(12月27日~1月6日)などお休みの期間もあります。

・税理士会
税理士会によって、電話相談・面談等の対応や相談可能な時間が異なります。詳しくは地域の税理士会のホームページをご参照ください。
https://www.nichizeiren.or.jp/consultation/info/

③ こんな方におすすめ
相談員は地域の税理士になるため、状況によっては少し踏み込んだアドバイスをもらうことも可能です。
強めの営業トークをされることはほとんどありませんが、気の合う税理士がいた場合、そのまま個別案件に踏み込んで有料相談(各税理士法人・事務所にて)のアポイントを取ることもできます。

地域に知り合いの税理士がいると心強い、相続税に強い税理士を紹介してほしいとお考えの方も、利用してみるとよいでしょう。

④ 注意点
相談日程が限られており、地域によっては面談予約が取りにくい税理士会もあります。相談できる時間も限られているため「相続税についてゼロから教えてください」といった時間のかかる相談には向いていません。複雑な個別案件も相談の対象外です。
早めに面談予約を取ること、相談事項をコンパクトにまとめておくことが大切です。
また、担当する税理士全員が相続税に精通しているわけではないため、残念ながら担当税理士による相談の当たり・外れが出がちです。

市区町村役場 【 電話 △ 対面 △ 】

① 相談できることと特徴
市区町村役場の中には、相続税に関する無料面談を予約できるところがあります。
一般的な相談に限られますが、税理士だけではなく弁護士、司法書士など、その他の専門家にも相談できる点が特徴です。

② 連絡方法
多くの場合、事前に電話で予約をした上で面談にて相談することになります。
詳しい予約方法は、各自治体のホームページ等をご参照ください。

③ こんな方におすすめ
一般的な相談に限られますが、税理士、弁護士等の複数の専門家に相談したい方にぴったりです。「税理士会や税務署よりも、市区町村役場のほうが近場で親しみもある」という方も多く、近場で気軽に相談したい方にもおすすめです。

④ 注意点
自治体によって対応がバラバラで、相談自体を実施していない自治体や、相談日程が年に数回しかない自治体もあります。自治体の相談日程を待っていたら申告・納付期限に間に合わないこともありますので、注意が必要です。
また、相談できる時間が短い場合がほとんどで、税理士会の相談同様に聞きたいことをコンパクトにまとめておくことが必要です。
担当の税理士・弁護士による当たり・外れがある点も、税理士会の相談と同様です。

税理士法人・税理士事務所 【 電話 △ 対面 ○ 】

① 相談できることと特徴
税理士法人や税理士事務所の中には、初回のみ無料で相談を行っているところがあります。税理士法人等の無料相談は、その柔軟性の高さが特徴です。
節税や二次相続対策、具体的な相続税の計算などに踏み込んだ提案にも対応してくれます。
また、「相続税についてゼロから教えてほしい」といった漠然とした相談に最もきめ細かく対応してくれるのも、税理士法人等の無料相談でしょう。
無料といっても一定の責任が伴うため、相談は資料を確認しながらの面談が主体です。

② 連絡方法
各税理士法人・税理士事務所のホームページをご参照ください。

③ こんな方におすすめ
申告のサポートをしてくれる税理士を探している方には、予算とソリが合う税理士をピンポイントで探す絶好のチャンスになります。ある程度踏み込んだ個別案件にも対応してくれるため「最終的な申告は自分でするけれども専門家の意見も聞きたい」という方にもおすすめです。
「相続税について何がわからないのか、わからない」「そもそも自分に相続税がかかるのかが知りたい」など、相続税の知識があまりない方にも丁寧に対応してくれます。

④ 注意点
税理士法人等の無料相談は、その後の有料相談への入り口といったプロモーションの役割を持っています。(多くの場合は初回の限られた時間のみ無料相談、以降は有料相談)そのため、財産評価など、より複雑な案件については有料相談を勧められることがあります。
「税理士法人の営業が強かったら断れないのではないか?」と漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。税理士探しを考えているならば、相見積もりや気の合う税理士探しを兼ねて、いくつかの税理士法人等の無料相談を利用するのもよいでしょう。

無料相談前に準備しておきたい資料・情報

せっかく無料で相談できる機会ですので、できる限り詳しい相談ができれば自力での申告に大いに役立ちます。まずは、相談したいことを明確にしておくことが重要です。
また、限られた時間で行うことも多いため、事前の資料準備は欠かせません。無料相談前に準備しておきたい資料や情報は次の通りです。

相続財産をまとめる

相続財産に係る必要書類をまとめておくと、各財産の評価額の計算ができるだけでなく、相続税の申告義務の要否も判定できます。
なお、相続財産とは、被相続人が死亡当日に所有していた財産全てで、預貯金や不動産などのプラスの財産だけではなく、債務や未払金などのマイナスの財産も含まれます。「みなし相続財産」(生命保険金や死亡退職金など)や、課税対象とならない葬儀費用などの資料も準備しておくと、より正確な試算に役立ちます。

相続人の状況

法定相続人を確定しておくことも、有意義な相談をする上で重要です。
法定相続人を確定するためには、「被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本・改正原戸籍謄本)」を取得しましょう。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本は、相続手続きの必須書類でもありますし、想像もしなかった人が法定相続人に該当するケースもあるため、早めに取得することをおすすめいたします。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が間に合わない場合は、被相続人と相続人の名前や住所をまとめておく程度はしておくとよいでしょう。

遺言書や遺産分割協議書(あれば)

遺言書が残されている、または分割協議が整い、遺産分割協議書を作成済みの場合は、資料として準備しておくとよいでしょう。申告内容をより正確に確認していくことができます。(遺言書がなく、分割協議が整っていない場合でも、相談はできます。)

まとめ

5つの無料相談窓口の一覧は次の通りです。それぞれに良い点と注意点がありますので、ご自身の希望にあった窓口を賢く使いましょう。

電話面談メリットデメリット
国税局電話相談センター×・迅速で質の高い回答が得られる。
・隙間時間に気軽に電話可能。
・積極的な提案はない
所轄税務署・対面でじっくり相談できる。
・資料をみて個別チェックも可。
・面談は予約に手間がかかる。
・積極的な提案はない
日本税理士会連合会・税理士会・税理士を紹介してもらえる。
・税理士に気楽に相談できる。
・複雑な個別案件は相談の対象外。
・税理士の当たり・外れがある。
市区町村役場・税理士以外の専門家にも相談可。
・近場で気軽。
・相談日が少ない(またはない)
・相談時間が短い
・税理士の当たり・外れがある。
税理士法人等・積極的な提案ももらえる。
・漠然とした相談も可能。
・有料相談へ誘導されることがある。

(※)この記事の連絡先等の情報は、2022年5月9日現在のものです。

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この記事の監修者

石倉 英樹(相続専門の公認会計士・税理士)

監査法人トーマツ、独立系コンサルティング会社で業務の経験を積み、2013年に相続税専門税理士として独立。相続において大切なことを伝えるべく「笑って、学んで、健康に」をモットーに、社会人落語家「参遊亭英遊」としても活躍。高座に上がる回数は年間80回超。著書に『知識ゼロでもわかるように 相続についてざっくり教えてください』(総合法令出版)がある。 HP:埼玉・大宮あんしん相続税相談室

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