相続専門コラム
火災保険を含む損害保険には積立型と掛け捨て型があります。大抵は掛け捨て型で相続税の課税対象にならないように思われがちですが、実際は対象となる場合があります。
このページでは火災保険を名義変更しても相続税の対象になる理由、そして火災保険の財産評価の為に必要な解約返戻金を確認する方法まで解説していきます。
目次
お亡くなりになった方(被相続人)が火災保険に加入していた場合に相続税の課税対象になるのか?という疑問があります。
生命保険などはまとまった金額を受け取りますし直感的にも相続財産となり得るんだろうなと理解できますが、火災保険など損害保険の場合は掛け捨て型である事も多く名義変更すれば一見相続財産として考えなくても良さそうに見えます。
答えとしては、火災保険は名義変更する等に関係なく相続財産として課税の対象になる場合があります。
どうして課税対象になるのか?それは、相続税がかかる財産というのは控除・免除・対象外となるものを除いて「相続した金銭になるもの全て」が対象だからです。保険は場合によって相続税の課税対象になります。著作権など目に見えない物であってもお金に換えられるため対象になる事と同様という事です。
国税庁のタックスアンサーではこう書いてある:
この場合の財産とは、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいいます。
出典:国税庁|相続税がかかる財産
ではどういった場合が課税対象に該当するのか。火災保険に相続税がかかるケースから見ていきましょう。
火災保険が課税されるのは以下の2つの要件をどちらも満たしてる場合です。
相続税が課税されるかは相続発生日に保険解約した場合に「戻ってくるお金」があるかどうかによります。
解約時に戻ってくるお金のことを解約返戻金と言います。もし解約返戻金がある場合は課税対象に含まれるので申告しなければなりません。そして相続税申告する必要があるのは火災保険の解約返戻金も含めた相続財産が基礎控除額内に収まらない方のみです。
基礎控除額に収まるか微妙なケースである場合はとりあえず解約返戻金があるか確認しておきましょう。
→【注意】相続税はかからないけど申告が必要なケースとは?義務・不要・任意のケースをそれぞれ解説
相続税がかかるケースとして以下のことにも注意が必要です。
それぞれ解説していきます。
保険には主に積立型と掛け捨て型がありますが、掛け捨て型だからと言って相続税の対象外というわけではありません。被相続人が前払金を支払って保険を継続していた場合は解約時に支払っていた金額の一部が戻ってくる事があります。この場合、掛け捨て型タイプであっても相続財産とみなされます。
JA共済が販売している「建物更生共済(たてこう)」は月額支払いで積立型です。支払金額のうち一部のお金が積み立てられる側面を持った商品です。
建物更生共済は解約返戻金が発生するため課税対象になります。
また名義変更しても相続する事に変わりはない為、相続発生日に解約返戻金があるなら課税対象になります。
保険の契約を継続する場合は名義変更が必要で、解約する場合も手続きが必要です。
なので、まずは契約している火災保険の代理店窓口に連絡しましょう。直接保険会社に連絡しても答えてくれない事が多く代理店を通す必要があるので注意が必要です。代理店の連絡先は保険証書や、保険支払い通知のハガキなどに記載されています。
代理店に連絡する事が出来れば「解約返戻金」を受け取れるかどうかを確認して下さい。
受け取れる場合は「契約者がお亡くなりになった日に保険を解約した場合の解約返戻金相当額」が分かる資料の発行を依頼しましょう。相続税申告の為に必要である事を伝えれば対応してくれるはずです。この解約返戻金相当額が火災保険の財産評価額となります。
また、名義変更して保険を継続する場合もその旨を同時に伝えれば書類を送付してくれます。
では、相続税がかからないのはどのようなケースでしょうか?具体的には以下のどちらか1つの条件を満たしているなら必要ありません。
相続税がかかるケースの真逆ということですね。この場合に重要となる相続税の基礎控除額の計算方法について触れておきます。
基礎控除額の計算式:
3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
上記が相続税の基礎控除額の計算式です。これに法定相続人の数をご自身のケースに当てはめれば基礎控除額を算出することが出来ます。
計算例を見てみましょう。
夫婦2人と娘さん1人がいて、今回旦那さんが亡くなったとします。
実際の計算:
3000万円 + 600万円 × 2人 = 4200万円
このモデルケースの場合、法定相続人は配偶者の妻、そして娘さんの2人なので600万円を2人分合わせて1200万円。3000万円の控除額と足し合わせると4200万円が基礎控除額である事が分かりますね。
つまりこのケースなら相続財産が4200万円以内であれば相続税申告が不要になり、火災保険についても申告は必要ありません。
相続税申告書を作成できるAI相続なら火災保険の金額入力もカンタンです。
もし、相続財産が相続税の基礎控除額の範囲内であるかどうかを確かめたい場合にも無料で利用することが出来ます。火災保険に解約返戻金がある場合は以下のように入力しましょう。
AI相続にログインして「財産の入力」のページに移動します。
「財産の入力」画面にある項目の中の「その他の財産」の右側にある編集ボタンをクリックします。
上記画像のような「その他の財産」の画面が表示されます。「+追加する」ボタンをクリックしましょう。
「その他の財産」の詳細画面が表示されます。「財産の種類」のプルダウンメニューをクリックして「その他」を選択して下さい。
すると、表示項目が増えます。それでは、火災保険の記載に必要な各項目を入力していきましょう。
保険の名称を記載します。例えば「◯◯海上日動火災保険」などです。
保険会社の本拠地の郵便番号を記載します。
保険会社の本拠地の住所を記載します。
事前に保険代理店などから入手してある「火災保険の解約返戻金相当額」、またはそれに相当する金額を記載します。
保険の契約数です。1なら1と入力します。
単価と数量を入力すると自動で算出して表示されます。
火災保険の必要項目を入力し終えたら、詳細画面の下側にある「受け取った人」の「取得財産の価額」を入力します。
入力が終わったら最後に「保存して戻る」ボタンをクリックして終了します。
A.非課税枠はない
死亡保険金や会社の死亡退職金・小規模企業共済などには「500万円×法定相続人の数」分の非課税制度が設けられていますが、残念ながら損害保険などにかかる非課税枠はありません。
A.解約返戻金相当額を利用する
相続発生日に解約したと仮定した場合の解約返戻金相当額がそのまま火災保険の財産評価額になります。契約している保険会社の代理店に問い合わせて確認しましょう。
A.相続税申告書 第11表「その他の財産」の「その他」
火災保険は「その他の財産」の「その他」の項目に該当します。
相続税申告書では「第11表-相続税がかかる財産の明細」に記載します。第11表の書き方についてはこちらの記事をご覧ください。
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監査法人トーマツ、独立系コンサルティング会社で業務の経験を積み、2013年に相続税専門税理士として独立。相続において大切なことを伝えるべく「笑って、学んで、健康に」をモットーに、社会人落語家「参遊亭英遊」としても活躍。高座に上がる回数は年間80回超。著書に『知識ゼロでもわかるように 相続についてざっくり教えてください』(総合法令出版)がある。 HP:埼玉・大宮あんしん相続税相談室