相続税申告ガイド

【早見表】贈与税が安くなる!特例贈与財産について|一般贈与財産との税率の違い計算方法

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2015年の贈与税改正により、贈与財産が「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に分けらました。それに伴い、税率も「一般税率」と「特例税率」と贈与財産の種類によって変わります。

今回は、贈与財産の税率と贈与税の基礎控除について解説していきます。

贈与税の基礎控除

まず、贈与税には110万円の基礎控除が設けられています。1月1日から12月31日までの贈与金額の合計が110万円以内であれば贈与税はかかりません。基礎控除の範囲内であれば贈与税申告の必要はありません。ただし、配偶者控除等の特例を併用して贈与税額をゼロにする場合は申告が必要ですので注意してください。

基礎控除を超えた分を「一般税率」、「特例税率」の計算式に当てはめて贈与税額を計算します。

一般贈与と特例贈与について

一般贈与財産とは

一般贈与財産とは、特例贈与財産の要件を満たさない贈与財産のことです。

兄弟間の贈与や、夫婦間の贈与、親から子どもへの贈与で子どもが未成年の場合の贈与等が一般贈与となります。

特例贈与財産とは

特例贈与財産とは、直系尊属(祖父母や父母など)から18歳以上の人(子どもや孫等)への贈与財産のことです。

祖父から孫への贈与や、父から子どもへの贈与などが特例贈与となります。
特例贈与財産は一般贈与財産よりも税率が低く設定されているため、贈与税を安くすることができます。

特例贈与財産となる要件

下記の条件に当てはまらない場合は一般贈与となります。

贈与する人(贈与者)
受贈者の直系尊属(父母、祖父母など)であること。

贈与を受ける人(受贈者)
贈与を受けた年の1月1日に18歳以上(※)であること。

※2022年3月31日以前の贈与の場合は20歳以上です。

税率の違い・贈与税の早見・速算表

一般贈与財産、特例贈与財産の税率の速算表は次のとおりです。

贈与税額早見表

令和6年4月現在での支払うべき実際の贈与税額をまとめてみました。計算式は以下の通り。

計算式:
(贈与財産の合計額-基礎控除額110万円)×税率-課税価格に対する控除額

以下は課税価格にかかる計算後の贈与税の金額です。()の中は課税価格に対しての贈与税の割合(小数点第2位切捨て)を示しています。

課税価格一般特例
200万円9万円
(4.5%)
9万円
(4.5%)
300万円18.5万円
(6.1%)
18.5万円
(6.1%)
400万円33万円
(8.2%)
33.5万円
(8.3%)
500万円52万円
(10.4%)
48万円
(9.6%)
600万円82万円
(13.6%)
68万円
(11.3%)
1000万円231万円
(23.1%)
177万円
(17.7%)
1500万円450.5万円
(30%)
366万円
(24.4%)
3000万円1195万円
(39.8%)
1035.5万円
(34.5%)
4500万円2014.5万円
(44.7%)
1780万円
(39.5%)
1億円5039.5万円
(50.3%)
4799.5万円
(47.9%)

上記の図の通り、基本的に特例贈与の方が税額が低くなっています。

税率の違い

税率だけをまとめると以下のとおりです。特例の方が税率が有利であることが分かります。

基礎控除後の
課税価格
一般特例
200万円以下10%10%
300万円以下15%15%
400万円以下20%15%
600万円以下30%20%
1000万円以下40%30%
1500万円以下45%40%
3000万円以下50%45%
4500万円以下55%50%
4500万円超55%55%
▼参照:贈与税の計算と税率(暦年課税)

控除額の違い

控除額だけをまとめると以下のとおりです。一般贈与の方が低額時に有利になっていますが、実際の計算では割合分、ほぼ特例のほうが有利になります。

基礎控除後の
課税価格
一般特例
200万円以下
300万円以下10万円10万円
400万円以下25万円10万円
600万円以下65万円30万円
1000万円以下125万円90万円
1500万円以下175万円190万円
3000万円以下250万円265万円
4500万円以下400万円415万円
4500万円超400万円640万円
▼参照:贈与税の計算と税率(暦年課税)

贈与税の計算手順

ステップ1.1年間の贈与財産の合計額を計算する
ステップ2.贈与財産の合計額から基礎控除110万円を差し引く
ステップ3.税率を計算する
ステップ4.控除額を差し引く

例:60歳のAさんが父親から1,500万円の贈与を受けた場合

贈与者はAさんの父親でAさんは18歳以上なので「特例贈与財産」として計算をします。

【計算式】
1,500万円 – 110万円(基礎控除額) = 1,390万円
1,390万円 × 40% − 190万円 = 366万円

Aさんの贈与税額は「366万円」となります。

例:50歳のBさんが配偶者と父親から3,000万円の贈与を受けた場合

配偶者から1,200万円、父親から1,800万円贈与を受けたとします。
今回のケースは、配偶者からの贈与は「一般贈与財産」、父親からの贈与は「特例贈与財産」として計算をします。

計算方法
  1. 全ての贈与財産を「一般税率」で計算し、税額に占める「一般贈与財産」の割合に応じた贈与税額を算出する
  2. 全ての贈与財産を「特例税率」で計算し、税額に占める「特例贈与財産」の割合に応じた贈与税額を算出する
  3. ①一般贈与財産の贈与税額と②特例贈与財産の贈与税額を合計する
実例の計算
①一般贈与財産分の税率を計算する
3,000万円 – 110万円 = 2,890万円
2,890万円 × 50% − 250万円 = 1195万円
1,195万円 ×(1,200万円 / 3,000万円)= 478万円

②特例贈与財産分の税率を計算する
3,000万円 – 110万円 = 2,890万円
2,890万円 × 45% − 265万円 = 1,035.5万円
1,033.5万円 ×(1,800万円 / 3,000万円)= 621.3万円

③税額を合計する
478万円 + 621.3万円 = 1,099.3万円

Bさんの贈与税額は1,099.3万円となります。

7年以内の贈与は相続税の対象となります

相続税は相続開始前7年以内(亡くなった日からさかのぼって7年前の日から亡くなった日までの間)の贈与は相続税の課税対象となります。

具体的には以下のとおりです。

贈与発生日生前贈与加算の対象期間
2023年12月31日まで相続開始から3年以内
2024年1月1日から2024年1月1日〜相続発生日まで
2031年1月1日から相続開始から7年以内

2024年1月1日以降に発生した贈与に関しては、相続発生時に7年経過していない場合、相続税の加算対象になります。贈与税の基礎控除に関係なく相続税の加算対象となる為、ご注意ください。

ただし、既に支払った贈与税分は控除することができます。

相続税の7年以内加算についてはこちらをご覧ください。
7年以内の贈与は相続税申告の対象になりますー生前贈与加算について

まとめ

今回は贈与税の税率について解説しました。
暦年贈与は相続税対策としても非常に有効です。110万円の基礎控除内であれば税額ゼロで資産を移すことができるので積極的に活用していきましょう。

また、3〜7年以内の贈与は相続税の対象となることもしっかり把握しておきましょう。

基本的なことは税務署でも相談にのってくれます。
実務的な相続税対策や贈与に関する不明な点は税理士や専門家に相談することをおすすめします。
みなと相続コンシェルでは税理士、弁護士、司法書士、ファイナンシャルプランナーが社内で協議し、お客様家族の大切な相続を正しい知識と適正な価格でサポートいたします。

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